「空撮情景復元士」後藤則敬の撮影遍歴

幼少時の体験とカメラとの出会い

後藤則敬は高度経済成長期に佐賀県の片田舎で生まれました。
幼少の頃は、利発ながらも屈託の無い笑顔で誰からも好かれる子どもでした。
そんな後藤則敬を最も可愛がっていたのが、彼の祖父であった椿原正二郎でした。
祖父は後藤を近くの山間にある寺院へ連れ出し、その公園で遊ぶというのが日課となっていました。
後藤もそのように可愛がってくれる祖父のことが大好きといった風で、自他共に認めるおじいちゃんっ子でした。
その祖父はカメラ撮影を趣味にしており、時間があれば近隣の寺院や神社へ出向いて、その自然風景を画角に収めていました。
カメラマン後藤則敬の原点は、まさにこの祖父の趣味によるところが大きいと言えます。
少し遠出する祖父の後について隣県の寺社にまで出向き、11歳の誕生日プレゼントで両親から買ってもらった本格志向のカメラで撮影を行うといった活動を繰り返していました。
中学校にあがった頃には、既に「趣味」と言ってもはばかられないほどの時間と労力を費やすようになっていました。
さらに進学した地元の高校では自分でカメラ同好会を設立し、「撮影」と称して忽然といなくなる後藤に対して学校がやきもきすることも多々ありました。
そのカメラ撮影に対する好奇心は留まる所を知らず、高校3年生の時にはとうとう受験勉強のためにカメラ禁止のお達しが出てしまうほどでした。

寺社カメラマンとしての充実した活動

後藤則敬は、カメラを禁止されながらも入学した大学では日本史を専攻しました。
そして、そこで学んだ寺社に直接出向いてその姿を写真に収めるといった活動を日々行っていました。
その写真は大変出来栄えが良く、論文に掲載する資料として学校の先生や友人から引っ張りだこでした。
そのため、大学の学部生にして既に「寺社写真家・後藤則敬」としての名は広く知られるようになっていました。
大学卒業後はその技量が見込まれ、後藤は東京にある学術書を多く出版する出版会社にカメラマンとして就職するに至りました。
会社勤めである以上は、寺社以外の写真も撮らなければなりませんでした。
後藤はそのことに特段不満を感じることはありませんでしたが、休日の際にはまるでストレスを晴らすかのように自腹でいろんな仏閣やお社に出向いて個人的な撮影活動を行っていました。
そうした甲斐もあってか、寺社撮影が依頼された際には「後藤則敬でお願いします」と直接指名が入るほど名うてのカメラマンとして成長していきます。
勤続年数が10年を過ぎた辺りから、後藤は数名のアシスタントを抱える出版会社のチーフカメラマンとなります。
その仕事は出版会社の枠を越え、大手出版社のフォトグラフィック誌から特集を依頼されるほど名前が知れ渡るようになりました。
しかし、周囲から尊敬の視線を浴びても後藤は常にマイペースで、自分が撮りたい寺社を撮り続ける毎日を送っていました。

意外な発見から空撮の道へ

故郷でも「後藤則敬」の名前は、地元の名士として知れ渡るようになりました。
後藤が帰郷すると、その仕事ぶりを聞こうと昔なじみが家に集まり、その周囲には笑顔が絶えませんでした。
そうした折、後藤は「カメラマン後藤則敬」の原点である、祖父と過ごした懐かしいあの寺院を撮影してみようと思い立ちます。
そうして思い出の寺院へ出向いて普段と変わらぬ撮影を行っていると、後藤はふと寺院の位置が戦国時代に建てられた山城の直線状にあることに気付きます。
「もしや!」と思った後藤は、いてもたってもいられなくなり、とうとうヘリコプターを自分でチャーターして空撮を行います。
その写真を地図と照合してみると、寺院が山城正面の直線状に位置していることがわかり、この寺院が山城の領主の菩提寺であることが判明したのです。
これ以降、後藤は空撮にはまるようになります。
後藤は寺社周辺を空撮することによって、当事の情景を次々と明らかにしていきました。
また情景だけではなく、地域において寺社がどのような位置付けであったのかも露にする後藤の手法に、多くの歴史家が賞賛の声をあげていきました。
こうした業績によって、後藤の名前は「寺社カメラマン」からランクアップし、「空撮情景復元士」として名を馳せるに至ります。
その評判は「当事の景色を知りたいのなら、まず後藤則敬に依頼しろ」と言われるほどでした。

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